「散歩中に犬が何でも口に入れてしまう……」
愛犬との散歩で、このような悩みを抱えている飼い主さんは少なくありません。
落ちている葉っぱや草を口にする程度なら大きな問題にならないこともありますが、食べ物のゴミやタバコ、薬品など、犬が口にすると危険なものが落ちている可能性もあります。
拾い食いは、単純に「食いしん坊だから」という理由だけで起こるわけではありません。
犬はもともと、においを嗅いだり、口を使ったりしながら周囲の環境を確認する動物です。そのため、散歩中に気になるものを見つけると、口に入れて確かめようとすることがあります。
大切なのは、拾い食いをした後に叱ることではなく、拾い食いをしにくい環境を作り、「飼い主さんを見る」「口に入れずに通り過ぎる」といった行動を教えることです。
この記事では、犬が散歩中に拾い食いをする原因や、やめさせるための練習方法、拾い食いをしたときの注意点について初心者向けに解説します。
犬が散歩中に拾い食いするのはなぜ?
犬が散歩中に落ちているものを拾う主な理由には、次のようなものがあります。
- においが気になる
- 口に入れて確認している
- 食べ物だと思っている
- 遊びの一環になっている
- 退屈している
- 飼い主さんの反応を楽しんでいる
- 食べ物への執着が強い
特に子犬は、周囲にあるものを口に入れて確認することが多くあります。
「これは何だろう?」という好奇心から、落ちているものを口に入れるケースもあります。
そのため、拾い食いを防ぐには、犬が拾ってから取り上げることを繰り返すよりも、拾う前に飼い主さんへ意識を向ける習慣を作ることが重要です。
原因1.においや形が気になる
犬は人間よりも嗅覚が優れているため、地面に落ちているものからさまざまな情報を得ています。
人間には何の変哲もない紙くずでも、犬にとっては気になるにおいが付いているかもしれません。
そのため、犬が地面のにおいを嗅ぐこと自体は自然な行動です。
ただし、「においを嗅ぐこと」と「何でも口に入れること」は別です。
散歩では犬が安全ににおいを嗅ぐ時間も確保しながら、口に入れてはいけないものを避ける練習をしていきましょう。
原因2.食べ物だと思っている
犬は食べ物に興味を持ちやすいため、落ちているものから食べ物のにおいがすると、口に入れてしまうことがあります。
公園や道路には、
- 食べ物の包装
- お菓子の袋
- 人間の食べ残し
- ガム
- 骨
- おにぎりなどの食品
が落ちていることがあります。
人間の食べ物の中には、犬にとって危険なものもあります。
散歩中は地面の様子を確認しながら歩き、食べ物が落ちている場所では特に注意しましょう。
原因3.口に入れて確認している
犬は手で物を触ることができないため、口を使って物を確認することがあります。
特に子犬では、この行動が目立つことがあります。
散歩中に草や小枝、落ち葉などを口に入れるのも、こうした探索行動の一つかもしれません。
だからこそ、子犬の時期から「口に入れる前に飼い主を見る」という習慣を作っておくことが大切です。
原因4.拾い食いすると飼い主が追いかけてくれる
犬が何かを拾う
↓
飼い主が「ダメ!」と言って追いかける
↓
犬が逃げる
↓
飼い主がさらに追いかける
このようなやり取りが続くと、犬にとっては遊びになってしまうことがあります。
特に、拾ったものを飼い主さんが無理やり取り上げようとすると、「取られたくない」と感じて、飲み込んでしまうケースもあります。
拾い食いを見つけたときこそ、慌てて追いかけないことが重要です。
犬の拾い食いをやめさせる基本的な考え方
拾い食い対策では、次の3つを意識しましょう。
①拾い食いできない環境を作る
②飼い主さんに意識を向ける練習をする
③拾いそうになったら別の行動へ誘導する
特に重要なのが、普段から「飼い主さんを見るといいことがある」と犬に覚えてもらうことです。
散歩中だけ練習するのではなく、まずは家の中から始めましょう。
拾い食いをやめさせる練習方法
ステップ1.「飼い主を見る」を教える
まずは家の中で、犬の名前を呼んでみましょう。
犬がこちらを見たら、すぐに褒めてごほうびを与えます。
これを繰り返し、
名前を呼ばれる→飼い主を見る→いいことがある
という流れを作ります。
これができるようになると、散歩中に気になるものを見つけたときにも、飼い主さんへ意識を向けてもらいやすくなります。
ステップ2.「ちょうだい」を練習する
家の中で犬がおもちゃをくわえているときに、別のおやつやおもちゃを見せます。
犬が持っているものを離したら、褒めてごほうびを与えます。
この練習を繰り返して、**「口に入れているものを離すと、いいことがある」**と覚えてもらいます。
ただし、無理やり口をこじ開けて取り出すことを繰り返すのは避けましょう。
「取られる」と感じると、物を守ろうとする行動につながる可能性があります。
ステップ3.散歩中に練習する
家の中でできるようになったら、散歩中に練習します。
最初から落ちているものが多い場所で行うのではなく、比較的安全で刺激の少ない場所から始めましょう。
犬が地面のものに気づく
↓
飼い主さんを見る
↓
褒める
↓
ごほうびを与える
という流れを作ります。
犬が拾う前に対応することがポイントです。
散歩中に拾いそうになったらどうする?
実際の散歩では、練習していても犬が何かを拾おうとすることがあります。
その場合は、まず落ち着いて対応しましょう。
1.リードを短めに持つ
危険なものが落ちている場所では、犬が地面に顔を近づけすぎないよう、リードを適切に管理します。
ただし、常に強く引っ張るのではなく、危険を避けるために必要な範囲でコントロールしましょう。
2.名前を呼ぶ
犬がまだ拾っていないなら、名前を呼んで飼い主さんに意識を向けます。
こちらを見たら、褒めて歩き始めます。
3.その場を離れる
どうしても興味を示す場合は、無理にその場所で練習を続ける必要はありません。
方向を変えて、落ちているものから距離を取りましょう。
拾ってから取り上げるより、拾う前に避けるほうが安全です。
犬が拾い食いしてしまったら?
もし犬が何かを口に入れてしまったら、まず落ち着いて状況を確認します。
すぐに飲み込んだのか、それともまだ口にくわえているのかによって対応が変わります。
まだ口にくわえているのであれば、無理に奪い取ろうとせず、犬が離したタイミングで回収する方法を検討します。
「ちょうだい」の練習ができている場合は、その合図を使ってください。
ただし、危険なものを口にしている場合は、練習より安全確保を優先します。
何を食べたか分からない場合も、自己判断で済ませず、動物病院へ相談しましょう。
拾い食いで特に注意したい危険なもの
散歩中に落ちているものの中には、犬の健康に影響するものがあります。
特に注意したいのが以下です。
| 拾う可能性があるもの | 注意点 |
|---|---|
| 人間の食べ残し | 犬にとって有害な食品が含まれる可能性 |
| チョコレート | 犬にとって有害 |
| ぶどう・レーズン | 犬では腎障害との関連が知られている |
| ネギ類 | 中毒を起こす可能性がある |
| ガムなど | 成分によっては危険 |
| タバコ | ニコチンによる中毒の可能性 |
| 薬 | 成分によっては重篤な中毒につながる |
| 殺虫剤など | 中毒の危険 |
| ビニール・プラスチック | 誤飲や消化管閉塞の可能性 |
| 小石・木片 | 誤飲や消化管のトラブルにつながる可能性 |
「少しだけだから大丈夫」と自己判断するのは避けましょう。
食べたものによって危険度が大きく異なるため、何を・どのくらい・いつ食べたのかを把握しておくことが大切です。
危険なものを食べたら無理に吐かせない
拾い食いをしたときに、「吐かせれば大丈夫」と考えるのは危険です。
食べたものによっては、吐かせること自体が適切でない場合があります。
また、自宅で無理に吐かせようとすると、別のトラブルにつながる可能性があります。
危険なものを食べた可能性がある場合は、動物病院へ連絡し、獣医師の指示を受けましょう。
相談するときは、
- 食べた可能性があるもの
- 食べた時間
- 食べた量
- 犬の体重
- 現在の症状
などを伝えられるようにしておくとスムーズです。
拾い食い対策でやってはいけないこと
大声で怒鳴る
「ダメ!」と大声で怒鳴ると、犬が驚いて、くわえていたものを急いで飲み込んでしまう可能性があります。
危険なものを食べてしまうリスクを高めることにもつながるため、落ち着いて対応しましょう。
犬を追いかける
犬が逃げると、追いかけたくなります。
しかし、犬にとって追いかけっこが遊びになってしまう可能性があります。
できるだけ冷静に犬の注意を別のものへ向けましょう。
無理やり口をこじ開ける
毎回強引に取り上げると、犬が「取られたくない」と感じる可能性があります。
普段から「ちょうだい」などの交換練習をしておくことが重要です。
リードを強く引っ張り続ける
拾い食いを防ぐためとはいえ、常にリードを強く引っ張るのはおすすめできません。
犬が散歩そのものを嫌がる原因になることもあります。
危険を避けながら、普段から飼い主さんへ意識を向ける練習を行いましょう。
拾い食いを防ぐために散歩コースも工夫する
拾い食いが多い犬の場合、散歩コースを変えることも対策になります。
たとえば、
- ゴミが少ない道を選ぶ
- 人通りの多い場所では地面をよく確認する
- 食べ物が落ちている場所を避ける
- 危険物が多い場所では犬との距離を近くする
などです。
しつけだけですべての危険を防ぐのではなく、飼い主さんが危険を先回りして避けることも大切です。
拾い食い防止用の口輪は使える?
拾い食いが激しく、何度も危険なものを口にしてしまう場合には、拾い食い防止を目的とした専用の道具を検討することもあります。
ただし、口輪などの道具は「つければ解決する」というものではありません。
サイズや種類が犬に合っていること、呼吸や体温調節、飲水などを妨げないことを確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
道具に頼り切るのではなく、環境管理やトレーニングと組み合わせることが重要です。
拾い食いが急に増えた場合は?
これまで拾い食いをしなかった犬が、急に何でも口に入れるようになった場合は、行動だけでなく体調にも目を向けましょう。
食欲が異常に強くなったり、食べ物以外のものまで繰り返し食べたりする場合などは、病気や栄養状態などが関係している可能性もあります。
特に、
- 急に食欲が増した
- 食べ物ではないものを頻繁に食べる
- 体重が変化した
- 嘔吐や下痢がある
- 元気がない
などの変化がある場合は、獣医師に相談しましょう。
まとめ|拾い食いは「拾わせない」と「飼い主を見る練習」が大切
犬が散歩中に拾い食いするのには、好奇心や食べ物への興味、探索行動など、さまざまな理由があります。
特に子犬の場合は、周囲のものを口に入れて確認することも珍しくありません。
拾い食いをやめさせるためには、ただ叱るのではなく、
- 危険なものが落ちている場所を避ける
- リードで安全に距離を取る
- 飼い主さんを見る練習をする
- 「ちょうだい」を普段から練習する
- 拾う前に別の行動へ誘導する
- 正しい行動をしたら褒める
といった対策を続けましょう。
そして最も重要なのは、「拾い食いをしてから取り上げる」のではなく、「拾う前に防ぐ」ことです。
散歩中に危険なものを食べてしまった場合は、自己判断で吐かせたりせず、何を食べたのかを確認したうえで動物病院へ相談してください。
拾い食いは一度の練習ですぐに直るものではありません。
毎日の散歩の中で少しずつ、「落ちているものより飼い主さんを見る」という習慣を作っていきましょう。


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